
2024年1月
昨年12月より第3学期が始まり、日本語クラスが開講されました。クオピオ市内で日本語クラスが開講されている学校は研修校であるKuopion
klassillinen
lukioのみであるため、市内の他校生徒も受講しています。所属している学校の枠を超えて学びたい教科を受講することができるというこのシステムについて、学びの選択肢の広さ、自由度にまず驚きました。今学期は、本校生、他校生合わせて約20名が受講しています。現在は、クオピオ在住の日本人の方が非常勤講師としてこのクラスを担当しており、私も毎時間参加させてもらっています。
1月に入り、次は「日本の教育制度」というテーマで話をする時間をもらいました。生徒には日本の文化について興味があること、知りたいことのアンケートをとりましたが、やはり日本の高校生の学校生活に関心があるようでした。また、今月は今学期のテスト週間に課題の一つとして書道にも取り組みました。まず、自分自身の「今年の漢字」を調べて決めてもらい、その漢字を書きあげるという内容でした。自分で選んだ好きな漢字を納得いくまで黙々と書き続ける生徒が多く、数を重ねるごとに上達していく様子を見せてもらい、純粋に嬉しかったです。
来月から第4学期が始まりますが、引き続き日本語クラスが開講されるため、次の文化紹介について考えていきたいと思います。
授業は、基本的にフィンランドの教科書に沿って進められ、ひらがな、カタカナの読み方から自己紹介、自己紹介に関連する趣味や家族についての表現、そのなかで使われる形容詞、助詞等の文法事項、というように内容が広がっていきます。生徒の日本語学習レベルは様々ですが、アニメが好きでたくさんの日本語表現を知っている生徒や漢字が好きで自分の漢字ノートを作成している生徒もいて、その探求心の強さに感心しました。担当の先生のお話によると、生徒たちはみんな日本語を書くことが好きで文字を書きたがるということでしたが、授業中、一生懸命にノートに文字を映している生徒たちの姿は印象的でした。
日本との交流授業実施を検討しましたが、時差の関係もあり実現させることが難しかったため、代わりに年賀状を作成して日本の高校に送るという取り組みを行いました。そして、年賀状を書くにあたり、「日本のお正月」というテーマで日本文化を紹介する時間をもらいました。新年の挨拶は見本の中から選び、デザインは自由、というなかで作成してもらいましたが、慣れない縦書きにチャレンジする生徒が多く熱心に取り組んでくれました。日本の高校生への質問を書いてくれた生徒もいて、現在は日本からの返信を待っています。
1月に入り、次は「日本の教育制度」というテーマで話をする時間をもらいました。生徒には日本の文化について興味があること、知りたいことのアンケートをとりましたが、やはり日本の高校生の学校生活に関心があるようでした。また、今月は今学期のテスト週間に課題の一つとして書道にも取り組みました。まず、自分自身の「今年の漢字」を調べて決めてもらい、その漢字を書きあげるという内容でした。自分で選んだ好きな漢字を納得いくまで黙々と書き続ける生徒が多く、数を重ねるごとに上達していく様子を見せてもらい、純粋に嬉しかったです。
来月から第4学期が始まりますが、引き続き日本語クラスが開講されるため、次の文化紹介について考えていきたいと思います。
フィンランド中央部にあるPihtipudasの小規模高校で研修をしています。今回は実践した授業について報告します。フィンランド語が全く話せないので、拙い英語で授業を進めています。高校と中学の授業では概ね理解してもらえます。小学校の低学年の生徒に対しては、途中途中でフィンランド語で説明してもらうことも多いです。
授業① 寿司パーティー
高校3年生の英語の授業で国際理解と称して、寿司パーティーを開きました。巻き寿司と握り寿司、インスタントの味噌汁、緑茶という簡単メニューでした。授業時間54分におさめるために、英語の先生と相談して、酢飯と錦糸卵は事前に用意して、後は具材を海苔で巻くだけ、握って鮭やいくらを載せるだけ、という段取りにしました。生魚を食べれないという生徒や卵アレルギーの生徒もいましたが、巻いたり握ったりする作業は楽しそうに取り組んでいました。片付けの時間まで入れると若干時間切れの面もありましたが、ワサビや折り紙で作った箸袋などは生徒にも先生にも好評でした。ただ、残った食材や巻きずしの切れ端などを容赦なく捨ててしまうのを見て、米の一粒まで大切にする意識やもったいない精神などについても事前に触れておけばよかったと反省しました。
授業② 日本の高校との交流授業
日本の高校と異文化交流授業を行いました。時差の関係で、フィンランドの午前中の英語の授業と日本の授業の時間帯が合わず、日本の高校には放課後に有志を募ってもらい交流が実現しました。接続の準備や打ち合わせの時間を考慮して、交流時間は正味40分としました。双方の出席者が10名程度だったこともあり、自己紹介とそれぞれの学校紹介の後、質疑応答という構成で時間内に収まりました。お互いに、緊張していたのとシャイなのとで、最初はぎこちない場面もありましたが、後半は日本側の生徒が活発に質問をしていたのが印象的でした。英語力の差はあったと思いますが、コミュニケーションをしようとする姿勢が大事だということが生徒自身にも理解できたのではないかと思います。終了後は、双方のホームページやSNSに授業の様子を掲載したり、リンクを貼ったりして、発信することもできました。
授業③ 折り紙教室
小中学校へ折り紙の出前授業に行きました。折り紙の経験がある生徒もいましたが、手先を細かく使うことや、折り紙特有の紙の折り方は、慣れない分難易度が高いようで、年齢を問わず苦戦しつつも楽しそうに取り組んでいました。完成したものを眺めて楽しむだけでなく、使ってほしいと思い、折り紙でブックマーカーを作成しました。アニメのキャラクターや動物をモチーフにしたもので、顔や名前を書き込むとオリジナルのブックマーカーが出来上がります。そのまま、宿題の個所に挟んでもらい、「これで全員宿題を忘れないね」などと声をかけると、生徒もまんざらでもない表情を浮かべていました。ポケモンのブックマークが大人気で、黄色の折り紙を大量に使いました。12月には、クリスマスシーズンのためサンタクロースやクリスマスツリーの折り紙を取り上げました。こちらも、メッセージカードや飾りつけに使える実用的なものを意識しました。この時は、赤の折り紙を多く使いましたが、途中でなくなってしまい、赤い包装紙を正方形に切って代替しました。サンタのメッセージカードに「love」を日本語で書きたい、と尋ね
た生徒がいて、「愛」と黒板に書いたところ、クラスの生徒全員が黒板に「愛」と上手に書いたのを見た時は、不思議な気持ちと感動とで胸が熱くなりました。
授業④
中学2年生、3年生に日本語の授業をしました。日本のゲームやアニメは中学生に浸透しており、アニメの声優の声を生成する無料ソフトを使って、ひらがなやカタカナについて説明しました。象形文字、指示文字、会意文字の漢字の意味をクイズ形式で出したところ、イメージを膨らませて漢字の成り立ちや意味を理解してくれました。基本的に、マンガの吹き出しにはすべて振り仮名が振ってあるので、ひらがな対照表でセリフの読み方を拾って、google翻訳の日本語の枠にローマ字入力すると、英訳やフィンランド語訳が出てきます。生徒の前でアプリやソフトを使ってみせると、ハードルが下がり興味をもってくれたように思います。
自分の名前をひらがなやカタカナで書く、というシートを作りましたが、フィンランドの名前は日本語で表記しにくい発音や、ja(ヤ)、vo(ヴォ)など対照表に書かれていないものも多く、理屈を説明するのが非常に難しかったです。
授業① 寿司パーティー
高校3年生の英語の授業で国際理解と称して、寿司パーティーを開きました。巻き寿司と握り寿司、インスタントの味噌汁、緑茶という簡単メニューでした。授業時間54分におさめるために、英語の先生と相談して、酢飯と錦糸卵は事前に用意して、後は具材を海苔で巻くだけ、握って鮭やいくらを載せるだけ、という段取りにしました。生魚を食べれないという生徒や卵アレルギーの生徒もいましたが、巻いたり握ったりする作業は楽しそうに取り組んでいました。片付けの時間まで入れると若干時間切れの面もありましたが、ワサビや折り紙で作った箸袋などは生徒にも先生にも好評でした。ただ、残った食材や巻きずしの切れ端などを容赦なく捨ててしまうのを見て、米の一粒まで大切にする意識やもったいない精神などについても事前に触れておけばよかったと反省しました。
授業② 日本の高校との交流授業
日本の高校と異文化交流授業を行いました。時差の関係で、フィンランドの午前中の英語の授業と日本の授業の時間帯が合わず、日本の高校には放課後に有志を募ってもらい交流が実現しました。接続の準備や打ち合わせの時間を考慮して、交流時間は正味40分としました。双方の出席者が10名程度だったこともあり、自己紹介とそれぞれの学校紹介の後、質疑応答という構成で時間内に収まりました。お互いに、緊張していたのとシャイなのとで、最初はぎこちない場面もありましたが、後半は日本側の生徒が活発に質問をしていたのが印象的でした。英語力の差はあったと思いますが、コミュニケーションをしようとする姿勢が大事だということが生徒自身にも理解できたのではないかと思います。終了後は、双方のホームページやSNSに授業の様子を掲載したり、リンクを貼ったりして、発信することもできました。
授業③ 折り紙教室
小中学校へ折り紙の出前授業に行きました。折り紙の経験がある生徒もいましたが、手先を細かく使うことや、折り紙特有の紙の折り方は、慣れない分難易度が高いようで、年齢を問わず苦戦しつつも楽しそうに取り組んでいました。完成したものを眺めて楽しむだけでなく、使ってほしいと思い、折り紙でブックマーカーを作成しました。アニメのキャラクターや動物をモチーフにしたもので、顔や名前を書き込むとオリジナルのブックマーカーが出来上がります。そのまま、宿題の個所に挟んでもらい、「これで全員宿題を忘れないね」などと声をかけると、生徒もまんざらでもない表情を浮かべていました。ポケモンのブックマークが大人気で、黄色の折り紙を大量に使いました。12月には、クリスマスシーズンのためサンタクロースやクリスマスツリーの折り紙を取り上げました。こちらも、メッセージカードや飾りつけに使える実用的なものを意識しました。この時は、赤の折り紙を多く使いましたが、途中でなくなってしまい、赤い包装紙を正方形に切って代替しました。サンタのメッセージカードに「love」を日本語で書きたい、と尋ね
た生徒がいて、「愛」と黒板に書いたところ、クラスの生徒全員が黒板に「愛」と上手に書いたのを見た時は、不思議な気持ちと感動とで胸が熱くなりました。
授業④
中学2年生、3年生に日本語の授業をしました。日本のゲームやアニメは中学生に浸透しており、アニメの声優の声を生成する無料ソフトを使って、ひらがなやカタカナについて説明しました。象形文字、指示文字、会意文字の漢字の意味をクイズ形式で出したところ、イメージを膨らませて漢字の成り立ちや意味を理解してくれました。基本的に、マンガの吹き出しにはすべて振り仮名が振ってあるので、ひらがな対照表でセリフの読み方を拾って、google翻訳の日本語の枠にローマ字入力すると、英訳やフィンランド語訳が出てきます。生徒の前でアプリやソフトを使ってみせると、ハードルが下がり興味をもってくれたように思います。
自分の名前をひらがなやカタカナで書く、というシートを作りましたが、フィンランドの名前は日本語で表記しにくい発音や、ja(ヤ)、vo(ヴォ)など対照表に書かれていないものも多く、理屈を説明するのが非常に難しかったです。
研修校は、4,000人規模の自然豊かなのんびりとした町にある唯一の高校で、全校生徒約80人の小さな学校です。学校の施設は北欧デザインのカーテンや黄色、赤などカラフルな壁、授業をする教室にはソファやクッションビーズ、可動式の机があり、生徒はかなりリラックスした姿勢で授業を受けていて、衝撃的でした。生徒の控室には、ソファやぬいぐるみ、音楽を聴くためのスピーカー、コーヒーメーカー、ホワイトボードなどがあり、ごろんと横になったり生徒同士が引っ付き合ったり、こちらもリラックスし放題のスペースになっています。
フィンランドの高校は基本的に単位制で、部活動にしっかり取り組みたい生徒など、4年間かけて卒業する生徒も一定数いますが、日本の高校とほぼ同じ学齢です。生徒たちは、素朴でシャイな印象ですが、打ち解けると流ちょうな英語と笑顔で話してくれ、日本の高校生と変わらないな、と感じます。一方で、自律性、自立性を尊重する国であるためか、服装やメイク、髪形などは驚くほど大人びています。多くの生徒がピアスや髪染めで自己表現を楽しんでおり、日本の制服文化や服装検査の話をすると驚きと関心をもって聞いていました。自動車で通学する生徒も多く、校外学習に生徒の車に分乗して行った時は不思議な気持ちになりました。また、フィンランドでは高校生でも低アルコールの飲酒が認められています。(「二日酔いで登校することはある?」との質問には、愚問とばかりに即「NO!」と返ってきました。)週末にバーで生徒に会って、「このお酒は飲むべき!」と薦められたのは衝撃的な体験でした。
ヨーロッパではタトゥーをしている人も多く、私自身の認識も大きく変わりました。フィンランドではタトゥーが許されるのは18歳以上からなので、高校でタトゥーを彫っている生徒はいませんが、祖母との思い出や好きな花など、卒業後に向けてすでにモチーフを決めている生徒もいます。「一生消せないからこそ、慎重に大切に決める」と話していたのが印象的です。
授業中は、トイレはもとより、教室内の移動、飲み物や携帯電話も基本的には自由です。当初は、急に立ち歩いたり電話が鳴って教室から出ていく生徒たちに「えぇ~!」と驚き、その度に先生を凝視してしまいましたが、授業中の規律は守られ、発言も活発です。自由なのに崩れないという状況を目の当たりにして、日本の高校の規律の厳しさについて考えさせられました。(ただ、ニュースなどでは、生徒が授業中に携帯電話やパソコンでゲームをしているという話も聞くので、学校や授業担当者によるものも大きいのかもしれません。)
多くの授業でペーパーレス化が進み、紙の教科書も希望すれば使えますが、ほとんど見かけません。筆記用具を持参しない生徒も多く、私がワークシートを使う授業をした際には、貸し出し用の鉛筆を取りに来る生徒の列ができました。日本でもかなり普及してきましたが、定期テストも支給されたPCで行っていたのは驚きました。(故障が多いので扱いを丁寧にしてください、という学校からのアナウンスが時々入ります。試験監督をしたときに、生徒のパソコンの電源が入らず往生しました。)また、私が受けている英語の授業では思った以上に宿題が多く出されます。授業担当者はPC上で課題の取り組み状況を見ることができ、進捗状況が成績に反映されます。生徒たちは放課後や空き時間を利用しているようで、取り組みの質、理解度共によいのも驚きました。フィンランドの大学入試にあたる高校卒業資格試験は、完全デジタル化され、1科目6時間という長丁場なので、生徒たちは進学を見据えて主体的に学習に取り組んでいるように見えます。基本的に先生、生徒双方に「学習はさせられるものではない」という共通理解があるからではないか
と感じます。
フィンランドの高校は基本的に単位制で、部活動にしっかり取り組みたい生徒など、4年間かけて卒業する生徒も一定数いますが、日本の高校とほぼ同じ学齢です。生徒たちは、素朴でシャイな印象ですが、打ち解けると流ちょうな英語と笑顔で話してくれ、日本の高校生と変わらないな、と感じます。一方で、自律性、自立性を尊重する国であるためか、服装やメイク、髪形などは驚くほど大人びています。多くの生徒がピアスや髪染めで自己表現を楽しんでおり、日本の制服文化や服装検査の話をすると驚きと関心をもって聞いていました。自動車で通学する生徒も多く、校外学習に生徒の車に分乗して行った時は不思議な気持ちになりました。また、フィンランドでは高校生でも低アルコールの飲酒が認められています。(「二日酔いで登校することはある?」との質問には、愚問とばかりに即「NO!」と返ってきました。)週末にバーで生徒に会って、「このお酒は飲むべき!」と薦められたのは衝撃的な体験でした。
ヨーロッパではタトゥーをしている人も多く、私自身の認識も大きく変わりました。フィンランドではタトゥーが許されるのは18歳以上からなので、高校でタトゥーを彫っている生徒はいませんが、祖母との思い出や好きな花など、卒業後に向けてすでにモチーフを決めている生徒もいます。「一生消せないからこそ、慎重に大切に決める」と話していたのが印象的です。
授業中は、トイレはもとより、教室内の移動、飲み物や携帯電話も基本的には自由です。当初は、急に立ち歩いたり電話が鳴って教室から出ていく生徒たちに「えぇ~!」と驚き、その度に先生を凝視してしまいましたが、授業中の規律は守られ、発言も活発です。自由なのに崩れないという状況を目の当たりにして、日本の高校の規律の厳しさについて考えさせられました。(ただ、ニュースなどでは、生徒が授業中に携帯電話やパソコンでゲームをしているという話も聞くので、学校や授業担当者によるものも大きいのかもしれません。)
多くの授業でペーパーレス化が進み、紙の教科書も希望すれば使えますが、ほとんど見かけません。筆記用具を持参しない生徒も多く、私がワークシートを使う授業をした際には、貸し出し用の鉛筆を取りに来る生徒の列ができました。日本でもかなり普及してきましたが、定期テストも支給されたPCで行っていたのは驚きました。(故障が多いので扱いを丁寧にしてください、という学校からのアナウンスが時々入ります。試験監督をしたときに、生徒のパソコンの電源が入らず往生しました。)また、私が受けている英語の授業では思った以上に宿題が多く出されます。授業担当者はPC上で課題の取り組み状況を見ることができ、進捗状況が成績に反映されます。生徒たちは放課後や空き時間を利用しているようで、取り組みの質、理解度共によいのも驚きました。フィンランドの大学入試にあたる高校卒業資格試験は、完全デジタル化され、1科目6時間という長丁場なので、生徒たちは進学を見据えて主体的に学習に取り組んでいるように見えます。基本的に先生、生徒双方に「学習はさせられるものではない」という共通理解があるからではないか
と感じます。