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本でも大学で学期の始めにシラバスが配布されると思いますが、policyの部分について日本よりも進んでいると感じたことがあります。健康面への配慮と、権利、という点です。希望する学生から、また、その学生をサポートする大学のdepartmentから授業の担当者に向けて具体的配慮がひつようである旨が連絡されます。

例えば、試験時間を他の学生よりも少し長く確保するなど、その学生の身体的特徴に応じて個々の対応が求められます。日本の高校で教員をしていましたが、アメリカの学生が日本の学生よりも、例えばADHDやLDなどの診断名を自覚している数が多いと思います。授業中の生徒の言動、話題の変わり方、字の書き方などを見ていて、その程度にも個人差がありますが、私から本人に尋ねることが憚られていた時、自分から知らせてくれることが多々ありました。

話を聞くと検査を受けた結果に基づいているとわかりました。ADHDだと把握しているのとしていないのとでは、周りがその学生を見る目に温度差があるように思います。本人に悪気がないのに友人から自分勝手だと見なされて集団から外されたり浮いてしまうというケースを日本の高校で感じました。少なくとも保護者の中で、診断名を受けて納得がいったと前向きにとらえられる方をあまり見てこなかったので、(私は、つい最近まで高校生だった18、19歳を見ているので)アメリカの大学生が自分の状態を自覚して、必要な措置を自分で訴えられるという点に、私はプラスの印象を受けました。

始めは、診断名がついている学生がなんて多いんだろうと驚いたのですが、これで診断名がつくのかと違和感を覚えた時、すんなりと飲み込めた時があり、改めて、一人ひとりが違う分、教える立場に立つ時はSPEDを理解しておくことの重要性を感じました。もちろん、子供に診断テストを受けさせるかどうかは保護者の同意に基づくので、アメリカでも強制ではないのですが、テストを受けることをカウンセラーや学校のせんせいが勧める、そのことに言及すること自体、日本はもう少し敷居が高いように思います。

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