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2018年8月から、アメリカのジョージア州にある州立大学で日本語のクラスを受け持っています。授業は、初級クラス(午前と午後のクラスがあって、それぞれ20名ずつほど)が週に3回、中級クラス(6名のみ)が週に2回あります。スペイン語やフランス語が第二外国語としては主流で、学生の多くは学部によって第三外国語が必修になっており、中国語、ロシア語、アラビア語、日本語から選択できます。まんがやアニメの影響で、日本語クラスは多言語より毎年人気だと聞きました。

初回の授業で、どうして日本語クラスに興味を持ったのかとアンケートをとったところ、圧倒的にマンガ、アニメ、若者ファッションなどの文化を通して日本に強いあこがれを持っていると分かりました。なので、極力、クラスで文法を勉強するときは、マンガの登場人物かアニメの画像からヒントをもらって例文を作っています。

ひらがな、カタカナ、漢字を初めて学ぶときは時間をかけて、書く練習をしています。カタカナに関しては輸入された単語に基本的には使うと伝えたところ、自分たちの場合はその単語が輸入されたか日本古来のものかどうやって見分けたらいいのかと尋ねられて言葉に詰まりました。私たちは毎日見聞きして、次第にそれがカタカナで表記されていると学んでいますが、日本語学習者にはそれも未知の世界なのだとその時分かりました。それまでは、知らない漢字をたくさんみて圧倒されないようにと、未習のものはすべてひらがなで書いていましたが、見てだんだん慣れるようにしようと思い、なるべく漢字で書いて、そこにひらがなのルビをふるようにしています。

中にはすでに高校で日本語を少し学んでいる学生さんもいるので、もっと文化のことを教えてほしいというリクエストが多いです。数名の学生さんが板書を写すのに時間がかかっている時などに、5分間ほど、できるだけ毎時間、トリビアのようなことを伝えています。前回は、キラキラネームについて紹介して、逆にアメリカでは、ファーストネームについて最近どのような傾向があるのかと尋ねて、似ているところがあったり全然違っていると発見できて、とても勉強になります。

姉妹校になっている日本の大学から短期の交換留学で来ている学生さんが授業に来てくれた時は、最近の日本のスラングを知りたいというリクエストがあり、私も知らなかった若者言葉を教わりました。同年代の大学生どうしですぐに打ち解けられるかなと思ってみていましたが、みんなシャイでなかなか苦戦している様子を見て、国民性はあまり関係ないのだなと感じました。

授業をしていて一番感激したことは、いまだ誰一人授業中に眠る学生さんがいないという事です。欠伸はよく見かけますが。また、Yes, ma'amという、最上級の敬語をよく使われてこちらが緊張します。普段はフレンドリーで、習いたての「おはよう。こんにちは。じゃあ。」という挨拶やおじぎをしてくれるのですが、とっさの返事やお礼を伝えるときに、こちらでは先生や年上の方に対する姿勢が明らかに違うと感じます。

授業中に挙手をしてよく質問をしてくれて、納得できないところは粘り強く取り組む学生さんの姿に、とても刺激を受けます。ぜひ日本の文化がよく伝わる映画を授業内で上映したいのですが、英語字幕付きのものは非常に高く、なかなか難しいです。よいサイトがありましたら、共有して頂けるととてもありがたいです。

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