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10月より2学期が始まったが、すぐに一週間の秋休みがあり、その間に街の景色は一変した。一気に気温が下がり、ずっと最高気温が0℃を超えない日が続いている。雪が降るまでの期間がとても暗く、気分が滅入ると言われていたが、外はすっかり雪景色となり、明るい毎日である。

2学期の取り組みで特筆すべきは、"tiimijakuso"("tiimi"つまりチームで学習する"jakso"学期)であり、これは従来の「個人主義、自己責任、自主自立」から、「協調性」にフォーカスした全く新しい取り組みである。

毎日授業ごとに講座のメンバーが変わり、それも一学期間(二か月)でまた講座自体が終わり、その他文化祭や体育祭その他HR活動も皆無という従来のスタイルでは、主体性は育つものの協調性を育む場がないという懸念が先生方にあり、このような協働型、教科横断型、いわゆる総合的な学習やアクティブラーニングを彷彿とさせるような取り組が行われることとなった。

確かに、こういった活動の欠落が、フィンランド人の人間関係の希薄さにもつながっていると言えなくもないように思えるので、少しでもこういった活動が教育現場で実施されるのは望ましいと思う。毎週テーマが与えられ、それに沿って各教科より課題が出て生徒はそれに取り組み、週末に発表、という形で進んでいく。まだ始まったばかりだが、興味深く観察していきたいと思う。

また、これに伴い今まで普通生徒の中に紛れていたアスリートコースの生徒37名が、一堂に会して授業を受けるようになり、いわゆる授業崩壊の前兆のようなものが表れ、先生方の悩みの種になっている。そのクラスに前学期と同じ宗教の授業に呼ばれ、前とは中身や活動を変えた授業を行ったところ、Well organized, well controlledなどと大変ほめていただいた。日本での困難校や体育科での経験が役に立っている。

フィンランドの先生方は、専門科目の能力が非常に高いが、生徒指導力、クラスを回す、まとめる、という点では日本の先生は自信を持ってもよいのではないかと思った。こちらに来て初めて授業力をほめてもらえたことは、私にとって想定外であったが、とても自信につながることとなった。

『日本語』の授業としては、講座数も生徒も増え、嬉しい限りであるが、準備に追われているというのが正直なところである。貸与という形で教科書を買ってもらうことができ、「日本語2」では「言語」の授業らしい授業をさせてもらえており、とてもやりがいのある毎日である。

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