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12月はフィンランド人にとって一番楽しみな時期なのではないでしょうか。今年は暖冬で暗く辛い11月で12月に入っても雪は少なく、降っても数日後には消えてしまう日々でしたが、本格的にクリスマスシーズンが到来し、街の風景ががらりと変わりクリスマス関連の催しが開かれ、11月以上に楽しいひと月でした。

学校でもクリスマス行事に参加する機会がありました。研修先の高校ではクリスマス前のセレモニーと教会への礼拝、クリスマス給食程度でしたが、隣の中学校では生徒たちがカフェを開いたり、小学校では学年や担任の先生にもよると思いますが、トントゥ(サンタクロースのお手伝いをする子供)を図工の時間に作ったり、先生お手製のアドベントカレンダーを開けたりしていました。私の小中高校時代、宗教や伝統など文化に関連した行事を学校で扱った記憶はないので新鮮でした。

フィンランドの学校では、クリスマスに限らず実際の生活に基づいた授業が行われていると感じています。例えば、小学校の図工の時間に父の日に贈るトースト用のトングを作ったり、高校の保健の時間に鬱病に関して扱ったり(フィンランドは鬱病患者が多い)、中学校の地理の時間にフィンランドに多く自生している木について勉強したり、研修先でも生徒たちが3Dプリンターを使っていつも何かを作っています。私にはそれがどう学校での学習と結びついているのかはわかりませんが、先生方はかなりそれらを評価しているようです。(もしかしたら先生方もわかっていないかもしれませんが)どこかで繋がっている、もしくは繋がる可能性があるのだと思います。

そしてこのクリスマス、宗教行事、宗教教育について興味深いと思った点があります。フィンランドでは小学校から宗教教育の時間がありますが、生徒がキリスト教徒ではなく、親が受けさせたくなければ受ける必要はありません。その時間は同じように宗教(キリスト教)を勉強しない少人数のグループで他の事を勉強します。個の尊重をフィンランドの教育現場で痛感しました。それを可能にするの少人数教育の重要性を私はフィンランドに来てから何度も実感しました。

今月で私の研修は終わりですが、この研修中にフィンランドの"可能性"と"個の尊重"によって柔軟な教育が生み出されていると感じましたし、これは教育現場だけに限らず、フィンランド社会全体で言えることで、日本にはないチャレンジ精神や他者との共存のようなものを発見しました。教育現場を通してフィンランド社会を垣間見れたという点でこの1年はとても有意義でした。

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