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待ちに待った雪が漸く降りました。雪が地面に少しでもあると視界が明るくなり気分も少し変わります。フィンランドでの秋は太陽が出なくて辛いとは聞いていましたが、どう辛いのか体験するまではわからないと思います。短気になりがちであったり、疲れやすかったりなどだと思いますが、自覚していないことが多いです。友達からの誘いは気が向かなくても受けるべきだと思いましたし、友達と喋るように、過ごすように積極的になったほうがいいと思いました。

フィンランドでは、11月の下旬頃からクリスマスまで"Pikku Joulu"(ぴっく ようる)<small Christmas>というパーティーを会社や親しい友人と一緒に開きます。私も研修先の市全体の先生方向けのに参加しました。日本で言う忘年会に近いものだと思います。どんな会かはそれぞれ違うと思いますが、グロギやピパルカック(ジンジャーブレッド)場合によっては、ヨウルトルットゥ(プルーンジャムの載ったパイ)が出される会が多いのではないでしょうか。ワインなどのアルコールも入り、みんなで軽いお食事をしてカラオケやダンスを楽しむ会もあるでしょうし、日本の忘年会と違いおめかしをして出かけることもあって、フィンランド人にとって暗い時期の楽しみなのではないでしょうか。フィンランドも近年、景気悪化で行政でも至る所でコストの削減がされているようで、このPikku Jouluも例外ではなく、盛大に会を催せなくなってきていると聞きました。それでも気分の沈んでいた私には充分でした。

11月の後半から研修先の学校でテスト期間が始まったため、近隣の小学校とその小学校付属のエシコウルを訪問していました。以前にもこの学校にお邪魔したことがありましたが、今回はエシコウルの子供たちと過ごす時間が圧倒的に多くそこの先生方とお話しする機会もたくさんありました。大学で男女参画や家族社会学などの講義を取って以来その分野に関心もありましたし、丁度日本の待機児童の問題に関する記事を読んでいたので、先生方とお話できたことも含めエシコウルの訪問が本当におもしろかったです。
小学校訪問中毎朝、お世話をして下さった先生と一緒に7時過ぎに登校するとエシコウルへ子供をつれてくるお父さんやお母さんを見かけました。エシコウルの先生によると朝番の場合、6時半に学校へ来て、子供たちを迎える準備をするそうです。もちろん子供全員がそんな朝早くに来るわけではありません。帰る時間も子供によって違います。13時ごろに迎えに来ることもありますし、17時ごろに迎えに来ることもあります。お迎えで驚いたのが、お父さんが大抵来ることです。

朝早く登校してくる子供には学校から朝食が提供されます。そして11時半頃に昼食を取り、13時半頃にはおやつの時間が設けてあります。朝シフトの先生がいらっしゃれば、晩シフトの先生もいらっしゃいます。11時ごろに登校して子供たちの世話をします。
ひとつの教室に先生が二人、三人いることは珍しくなく、子供たちが遊んでいる時間に一人の先生は教室でパソコンに向かって事務作業をしている姿をよく見かけました。先生によると、一週間の労働時間は家で残業をすることもあるようですが、仕事場で仕事をするのは40時間以内だそうです。日本で保育師の給与が低く、保育士不足が問題になっていますが、フィンランドでもエシコウルで働く先生方に支払われる給与は学校の先生のよりも低いそうです。学校の先生にはスキルが求められるけれど、エシコウルの先生には求められておらず、先生方の気持ちで子供たちを"面倒を見ている"と考えられているからだそうです。

また、エシコウル滞在中にすぐそばの保育園を訪れる機会もありました。エシコウルは小学校入学前に文字や数字などを勉強する場所で、この場所ではじめてそれらに触れるのだと思っていたので、保育園の壁に数字やアルファベットが張られていたのには驚きました。先生によると、保育園、エシコウル、小学校と徐々に易度が上がっていくそうです。数字に関していえば、保育園にもエシコウルにも数字のカードが張ってありましたが、エシコウルでは足して10になる組み合わせ(1と9、2と8、3と7...)も張ってありました。アルファベットに関しては、エシコウルではアルファベットがずらりと黒板の上に張られて、その文字から始まる絵とその綴りが張られていました。一方小学校3年生の教室では、音節で区切られている掲示(YK-SI, KAK-SI ...)をいくつも見ました。

私の研修もあと1ヶ月を切りました。漠然と教育に興味があると思っていましたが、今回エシコウルの訪問は、教育の中でも初等教育や幼児ケア、教育とは離れた家族社会学にも関心があったこをを気づかせてくれました。エシコウルに関してまだまだ疑問が沸いてきそうです。たくさんのことを学んで帰国したいと思います。

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