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2015年03月10日・Yuta Abe・ 20代 , フィンランド , 海外教育交換プログラム
社会人4年目を終えて、留学に踏み切った。それは即決したことではなく、大学卒業次からコツコツと、資金的にも内容的にも温めてきたこと。同期が来年度の準備を始める一方で、あっさり学校から去った私を、思い切ったねという人もいるけれど、計画期間は長かったので何を今更という気持ちが本音だった。例えば今「留学した自分に満足ですか?」と問われても、私は解答が出来ない。理由は三つ、①自己評価は択一で表現できるほど単純なものではないと考えるから、②日本に残した者のことは忘れないから、③日本に居た時には抱かなかった新たな課題に挑戦したくなってしまったから。

朝は9時近くになってようやく太陽が昇ってきて、夕方16時は真っ暗になっている日照時間の短さに、心身を慣らすことが大変でした。フィンランドの11月は「死の月」と言われる。皆太陽とともに気持ちが沈んで、精神疾患を患いやすいから。かつてうつ症状を訴えた生徒と向き合った身として、フィンランドでは教育現場がどう対応するのかを研修したかった。そんな自分自身が、そこまでひどい症状に見舞われなかったのは、現地で出会った剣道のおかげだった思う。ヨーロッパ大陸に根ざす剣道を愛する者達と共に稽古し、発散する場、会話する場を定期的に持つことが出来たから、12月末の現在、精神は安定している。

その恩を返す場は、研修期間もあとわずかとなった1月に訪れる。「Yutaが全て企画・実行する子どもたち向けの剣道キャンプをやってみないか」、という提案を頂いた。「俺だったらこうする」のようなアイデアを自由にやってみろ、お膳立てはするからって。そうだなあ厳しい稽古も提案するさ、けれどそれが終わったらみんなでお味噌汁を作って和食を楽しんで、サウナに入った後は折り紙教室も開く、大人も一体になって参加出来るイベント。フィンランド語に敬意を払いつつ、楽しく日本語を学べるイベント。1月2日~4日開催!

その為の準備という目標を持った今、留学した自分に満足かなんて答えられるわけがないんだ。きっとイベントが終わっても、帰国しても、復職しても分からないと思う。何年かして、参加した子どもたちが、剣道や日本に一層興味を持った大人になった、という知らせを聞いて、始めて「全てが終わった」と言えるのだろうから。

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