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2011年09月29日・Kazuaki Yazawa・ 20代 , フィンランド , 海外教育交換プログラム
8月中旬から始まった新学年で、日本研究の授業を中高で担当し始めた。9月末までの第一学期には28名の高校生が履修した。ほとんどの生徒が初めて日本語を学ぶが、中には文字が読めたり、自己紹介ができたりする子も含まれていた。最初の授業でアンケートをとると、多くの生徒が日本語の初歩を学びたいと思っているだけでなく、文化・社会・自然・流行など多岐にわたる興味を持っていることが分かった。そこで、「XはYです」の基本文型で作れる多くの表現を教え、生徒全員が日本語で自己紹介することができるようになった。合わせて、夏から秋にかけての日本の年中行事を紹介したり、そろばん・書道・折り紙の体験も取り入れた。
日本の勤務校が9月から新学期になったので、5月に引き続きSkypeを利用した遠隔授業も行った。前回は十分に準備する時間がとれなかったので、今回は授業3回分をあてて、グループごとにフィンランドを別々の視点から発表する準備をした。各自の自己紹介は学んだばかりの日本語を使い、名前もカタカナで紙に書いて、カメラに写した。サンタクロース、冬のスポーツ、食べ物と飲み物、音楽、サウナ、ムーミンのテーマで資料を作り、カメラに写しながら発表した。日本側からは様々な質問が出て、前回よりも和やかな雰囲気で進めることができた。
物理の授業では、グループごとに簡易モーターを作って回転の原理を考えたり、発電機の仕組みについて説明し、原発事故についても取り上げた。化学の授業では、有機化合物の構造異性体を分子模型と構造式から考える演習を行った。物理の内容は日本と大差ないが、化学については日本よりも詳しく細かい概念まで扱っていた。特に、原子の電子配置をs,p,d,f軌道に分けて説明し、混成軌道による結合角の違いまで扱っているのは、日本の理工系大学1年レベルに相当する。物質がなぜその性質を持つのか、なぜ反応が起こるのか、という化学の根本を電子の動きできちんと説明しようとする姿勢がうかがえる。一方で、授業の進め方を見ていると、実験に使う器具をその場で準備したり、授業が始まってからICT機器の設営をするなど、無駄が多いと感じられる場面がある。その間、生徒も友達としゃべっていたり携帯をいじっているなど、せっかくの貴重な授業時間が失われているのは、個人的に残念である。フィンランド特有の余裕ということなのだろう。

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