
ズバンディエラトーリとは、イタリアの伝統芸能のひとつで、旗を使って行うダンスです。私は、どうしてもズバンディエラトーリを習いたくて、このプログラムに参加しました。私が研修している団体は、イタリアの中でもかなり大きな組織ですが、最低経費以外は完全にボランティアとして活動しています。メンバーは、ほとんどが社会人で忙しい方も多いのですが、話すことといえばズバンディエラトーリのことばかり。そんな彼らと一緒にいられることがとても心地よく、その熱心さに強い影響を受けています。
私はダンスを習っていたので、当初の予定よりもかなり早く実演に参加させてもらうことができました。初めてのときは、念願が叶った喜びで胸がいっぱいになり、感激のあまり涙があふれてきました。生のイタリア語は、本当に難しいのですが、今は出発前とは比べものにならないほど、耳が慣れてきています。休みの日には友達に博物館に連れて行ってもらったり、子供にズバンディエラトーリを教えている友人のお手伝いをしたりと、眠る時間も惜しんで、毎日いろいろなものを吸収しています。
帰国が近づいたある日、思い切って延長を願い出たら、ホストティーチャーにSi(いいわよ)と言われうれしかったです。研修を延長したのは、俳句の授業や、続けている日本の学校との交流を中途半端に終わらせたくなかったから。伊文俳句はクラスの生徒たちが日本企業主催の賞もいただきました。
日本の学校との交流も大好評で、日本から返事が届いたときは大騒ぎでした。イタリアの子供たちが日本という国を知ることで外の世界に目を向け、広い視野で物事を考えられるようになる。子供たちの成長過程に、何らかの影響を与えていると考えると、日本から来てここにいる意味はとても大きいですね。ここはパンの町としても有名なので、パン教室講師の経験を生かして何かできたらいいなとも思っています。