第二言語と​グローバル化

昨日道場の​子供たちを​森に​連れて行く​時に、​ヤルノと​フィンランド剣道の​稽古に​ついて​話していたら​少年の​ひとりが​「ヤルノは​なんで​英語を​話しているの?」と​英語で​聞いてきた。​その​時の​ヤルノの​答えが、​なんだか​心を​すっと​させる、​客観的な​事実なのだけれど​考えさせられる​一言だった。

「それはね、​私が​日本語を​話せなくて、​Yutaが​フィンランド語を​話せないからだよ。」

英語を​第二言語と​して​学ぶ国民と​して、​英語は​海外人と​コミュニケーションを​とる​手段である。​国家予算の​大半を​社会保障と​教育に​かけた​フィンランドでは、​一方で​海外の​産業的娯楽を​取り入れたいと​いう​気持ちが​本当に​強い。​日本を​例に​とっても、​学生が​漫画を​読むと​いう​行為は​日本の​彼等と​何も​変わらない。​一つ​決定的に​違うのは​それを​何語で​読むかだ。​フィンランド語に​翻訳されてなければ​英語で​読むわけだ。​英語で​youtubeの​animeを​見るわけだ。​彼等に​とって​英語は​いわば​マスターキーのような​もので、​あれば​世界が​広がり、​あった​方が​良いと​考えている。​日本の​武道であればな​おさら、​未知の​日本語は​英語訳されていれば​幾分ハードルは​低く、​しかし​英語からのみ​文化と​して​取り入れ、​脈々と​この​地に​kendoを​根付かせてきたのである。​ヤルノの​答えは​その​意味では​まったくの​正論だった。​しかしもし、​私が​日本の​教壇に​立ち続けていたら、​同じ​答えを​生徒に​返すことが出来ただろうか。​「なんで​英語やんな​きゃいけないんですか。​」​日本の​学生が​抱く​その​質問は、​字義通りの​解釈では​納得の​行く​答えは​返せないのだ。​すな​わち​「大学受験で​点配分が​高い​教科だからだよ」とか​「将来役に​立つからだよ」と​いった、​誰もが​知っている​自明の​再確認や、​米国・中国を​主軸に​潜ませた​日本式グローバリズムの​抽象化表現は、​生徒の​求める​ところではない。​まして​英語教師の​求める​ところでもない。​「なぜ英語を​教えるのか。」

日本の​学生が​聞いてくる​「なんで​英語やんな​きゃいけないんですか。」とは、​背景心理を​突き詰めれば​「なぜ第一言語の​日本語は​世界共通語じゃないんだろう。​なぜ第一言語が​英語である​人に​英語に​合わせて​会話を​しなければならないんだろう、​はじめから​英語しゃべってたら​欧米​(先進国)の​人との​会話が​楽で、​非英語圏の​人に​英語を​強制出来る​優位に​立つのに。​そして​結局、​日本の​尺度での​それは​点数化する​ことだけなのか、​しゃべれないの​前提で​さっ!」と​いうやり場の​無い​苛立ちに​過ぎない。​それを​現場の​教師が​質問の​文字通りに​捉えて​答えた​ところで​不満が​増すだけなのだ。​日本の​地理的環境が​欧州・欧米から​遠いので、​グローバル化と​言っても​地続きに​共感が​得られない。​そして​アジアには​アジア特有の​政治的課題が​あり​「世界と​繋が​ろう」と​いう​平和的キャンペーンは、​まずは​環太平洋圏と​いう​地域からの​構築を​強いられる。​先の​日本式グローバリズムとは​その​ことだ。​もちろん同様の​問題は​欧州にも​発生していて、​一見強い絆で​結ばれたように​見える​EUと​いう​土台は​それ以上​肥大化せず​勢いを​失う​ことを​迫られている。​一国家に​とって​地は​あまりにも​広いようだ、​一地域を​まとめていく​ために​近隣諸国との​対応で​手一杯に​なってしまう。​けれど、​一個人の​文化の​享受は​違う。

EU圏に​住み、​アジアの​島国の​伝統武道を​愛してくれる。​内省的な​国民性や​互いの​言語に​類似性を​見出し、​けれど出来る​限り発祥の​地の​特色を​失わないように​取り入れたい。​その​ために​英語が​どうしても​必要なのだ。​読めるだけでなく​話せる​ことも​必要なのだ。​お互いが​英語以外の​第一言語であるから、​思うように​流暢な​表現が​出来ないけれども、​確かに​意志が​疎通されていく。​グローバル化とは​この​ことだと​思う。​自分の​国籍に​誇りを​持つことが​前提に​あって、​その​上で​他国を​尊重する​時代の​うねりに​生じた​産物が​英語だったから​「私が​日本語を​話せなくて、​Yutaが​フィンランド語を​話せないからだよ。」と​いう​大人も​子供も​納得出来る​シンプルで​素直な​答えが​生まれたのだろう。

少年は​「I

can speak Finnish and "Englanti" a little.」と​言った。​私は​「Mina puhun vahan

suomea.」と​答えた。

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