日本と​フィンランドの​中等教育の​違い

フィンランドで​研修を​始めて​半年​経った​こともあり、​研修校の​先生方向けに、​日本と​フィンランドの​中等教育の​違いと​題して、​90分程度の​講演を​行った。​渡航前は、​授業の​方法論の​レベルで​何か​違いが​あると​期待していたが、​中学高校段階の​特に​理数系の​授業を​見学する​限り、​特別な​テクニックが​あるわけではない。​もちろん帰国後に​導入したいと​思う​授業ネタは​いくつも​仕入れたし、​こちらも​優れた​実験などを​実演する​ことで​互いの​授業技術を​共有した。​しかし、​それらは​表面的な​違いに​過ぎない。

理数系の​授業に​ついては​特に、​15人程度の​少人数に​する​ことで、​生徒と​問答を​するように​授業を​進める​ことができる。​個々の​理解度の​差を​把握し、​問題演習では​別々の​内容を​同時進行する​ことが​可能に​なる。​実験に​ついても、​同時に​たくさんの​グループに​対して​器材や​試薬を​準備する​必要が​ない。

国家に​よる​検定なしに​作られた​教科書が、​もう​一つの​重要な​制度的違いである。​日本の​場合、​近年は​「発展」と​呼ばれる​指導要領を​超えた​内容が​一部で​認められては​いる​ものの、​依然と​して​定量的な​理解を​深めるような​内容は​不十分である。​その​結果、​特に​中学段階では​単なる​暗記に​走らざるを​得ないような​学習内容と​なってしまう。​一方フィンランドでは、​必要な​専門用語を​包み隠さず​使って​丁寧に​解説した​教科書を​使っている。​加えて、​豊富な​問題演習が​含まれているので、​教科書を​読んで​関連する​問題も​解く​ことで​自学自習が​可能である。

学校の​役割に​ついても、​ずいぶんと​違う。​フィンランドでは、​学校は​勉強する​場所である、と​いう​認識が​生徒・教員・保護者に​共有されているように​思う。​放課後の​部活も​なく、​学年全体での​宿泊行事も​なく、​入学式や​始業式などの​式典も​ない。​派手さは​ないが、​むしろ​生徒は​知的好奇心を​満たす​ことで、​学ぶこと​その​ものを​楽しんでいるように​見える。​教員も​プロ意識の​高い​人が​多く、​生徒の​ために​何が​大切かを​常に​考えている。​保護者も​学校の​方針に​文句を​言う​人は​ほとんどいないし、​学校に​勉強以上の​何かを​求めないようだ。​日本では、​勉強するとともに、​部活などで​上下左右の​人間関係を​学び、​宿泊行事や​式典で​連帯意識を​醸成する​ことも​学校の​役割である。

この​ほか、​私立学校と​公立学校の​違い、​習い​事や​塾の​存在、​教員の​社会的立場など​豊富な​話題を​提供し、​活発に​議論が​できた。​講演後は、​家庭科室で​日本の​家庭料理を​全員で​作り、​こちらも​好評だった。

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