茶道の基本について

茶道の基本について

投稿日:2014-05-30


千利休によって安土桃山時代に完成された茶道は、利休が仕えた織田信長や豊臣秀吉をはじめ、多くの武将がたしなんだといいます。その後、江戸時代の中頃からは町人たちにも広がり、今に伝わっています。

様式にのっとり相手にお抹茶を振る舞うという茶道は、近年注目されている日本の「おもてなし」の心そのものです。海外の人々にぜひ伝えてほしいホスピタリティ溢れる文化です。

海外の方に茶道について聞かれたとき、正しく茶道の基本を答えられるよう基本を学びましょう。

用意する道具

茶道はとても奥深いものです。その作法を突き詰め極めるには、長い時間が必要です。ましてや茶室もない海外でのこと、作法も省略せざるを得ませんが、心静かにリラックスできる空間の素晴らしさと日本のおもてなしの心はきっと伝わるでしょう。

用意する道具は、抹茶、茶椀、茶杓(抹茶をすうくもの)、茶筅(抹茶を立てる竹製の道具)です。お湯を注ぐポットも手元に準備しましょう。また、お菓子を置く懐紙とお菓子を切る菓子切り(楊枝)を、あらかじめゲストに渡し、使い方を説明しておくといいでしょう。

茶道の道は立ち居振る舞いから

茶道にはさまざまな流派があり、それによってその作法も少し違います。ただ、立ち居振る舞いを重んじるということはどの流派にも共通しており、まさに茶道の第一歩と言えるでしょう。
ここでは、千利休を祖としその流れをくむ表千家の作法を例に、基本的な所作を説明します。

まず、立っている状態から座る方法です。自然に足をそろえて座ります。座りづらいからといって片足を引いてしまうのはマナー違反なので注意が必要です。

そして次は正座です。外国の人は正座をする習慣がないので、慣れるまでは大変だと思いますが、日本人にとっては日常的な座り方であることも伝えられるいい機会です。握りこぶしひとつ分ほど膝を開いて(男性は制限がないので、くつろげるくらい開いても大丈夫)座ります。上半身は腰・胸を前に張るようにして背筋を伸ばします。足は、左足の親指を上にして両親指を重ねます。手は両手を重ねて膝の上に置くようにしましょう。

また、立ち方にも美しさが求められます。まず膝に両手を乗せて、足をずらすことなく腰を上げます。この時、体がぐらつかないようにゆっくりと立ち上がるのがポイント。座る時と同じく、立つ時も両足がきちんと揃うように注意しましょう。

そして、最大のポイントがお辞儀の仕方です。まず両手をハの字につきます。この時7cmほど(男性の場合は20cmほど)指先の間隔を取ってください。背筋を伸ばしたまま、30度くらいの角度で頭を下げます。頭を下げるというよりも上半身を床に近づけるというイメージを伝えるといいでしょう。

実際にお茶を味わってみる

ご存じの通り、お茶をたてること、またそれをいただくことに関してもさまざまルールがあります。しかし、最初は堅苦しいルールに縛られず、気軽に茶道に触れてもらうのも大切です。まずは心を落ちつけられる静かな空間をつくり、リラックスした雰囲気作りを心がけましょう。茶室など整った施設がなくても、簡単にお茶を楽しむことができます。

抹茶を茶杓で1杯半ほど茶碗に入れます(ティースプーンなどでも代用できます)。お湯の適温は80度、ポットから直接茶碗に注ぐのではなく、一度別の茶碗に注いだものを抹茶茶碗に移すといいでしょう。続いて茶筅でかき混ぜます。この時アルファベットの「m」を書くようなイメージで、一気にお茶をたてていきます。充分混ざったら、最後にお茶の表面に「の」の字をかくようにしながら茶筅を外します。

後は一般的な所作に従いお抹茶を味わうだけです。日本に自然を愛でながらお茶を楽しむ「野点」という文化があることも伝えながら、教えましょう。



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