フィンランド教育研修(インターンシップ)
体験談

「こけしを銀行の窓に飾りました」 

●I.Y.さん(女性)
●研修先:フィンランド・小学校
●所属・出身:社会人
●時期:2007年9月(12ヶ月)
●No.070320007
2007/10    フィンランド人は、息を吸いながら話す
フィンランドに来て、もうすぐ4週間が経とうとしています。 私は、英語もフィンランド語も全然話せない状況で来ましたが、なんとか暮らすことが出来ています。それは、ホストファミリーなどが、私が分かる様にと易しい単語を使って話してくださっているおかげだと思います。小学校での活動は、今週から日本の授業を始めました。学校に通い始めた当初、低学年の子はすぐに懐いて来てくれたのですが、高学年になると冷めた子が多いように感じました。しかし、6年生の初授業が終わった後には、数人の男の子がハグをしてくれて、驚きましたがとても嬉しかったです。他には、手紙や絵を書いてくれる子もいて、それらはすべて私の大切な宝物です。そんな可愛い生徒たちがたくさん質問してきてくれるのですが、言葉が分からない為に、いつも謝ってばかりです。もっと学ばなくては!と日々思っています。 フィンランド人は、息を吸いながら話すと知人から聞いてはいたのですが、生で聞いた時にはビックリしました。これが自然に出来るようになる頃には、日常会話はペラペラになっているのだろうと思い、それを目標にして行きます! あと、雑誌に日本料理が紹介されていたのですが、なんと卵焼きが「Tamakoyagi」と書かれていたり、ステイ先にあったフライパンに日本語が書いてあり「一番のパソ(←ンではなくソ)」というような間違いがありました。もしかしたら、自分が思っている事は本当は違うことがあるかも知れない、見極める力が必要だ、と深く考えさせられる間違いでした。

2007/11    毛糸の靴下の編み方を教えて頂きました
早くも2ヶ月が経ちました。先月は色々な機会を与えて頂き、研修先の隣りの小学校などでも授業をやらせて頂きました。フィンランド語も英語もろくに出来ない私は、身振り手振りでなんとか教えられるような「折り紙」「日本語で挨拶」「習字で名前を書く」「盆踊り」「相撲」「紙風船・けん玉」などをやりました。生徒がシャイ過ぎて終始無言のクラスもあれば、やんちゃな子が多いクラスでは質問攻めに遭い、授業が進まなかったクラスもあればと、それぞれの学校やクラスによって全く違う反応があるので、とても勉強になります。どちらもとても可愛い生徒達です!! 授業の準備に時間をとられ、語学の勉強が進んでいないのが現状です。もっと周りの人と話したり、積極的にならないと駄目だと自分に言い聞かせています。 

休日の方は、のんびり快適に過ごしています。フィンランドではティータイムの回数が多く、たまにお隣さんちにお邪魔し、コーヒーとケーキを頂いたり、逆にこちらに招いたりします。お隣さんはとても親切なおじいちゃん&おばあちゃんで、私はあばあちゃんに毛糸の靴下の編み方を教えて頂きました。(毛糸の靴下はフィンランドではとても重要な物です!)しかし、編む時間がなかなか取れず、一向に進んでいません。「冬が来ちゃうわよ」と言われました。(というより、既に雪も降っていますので、来てしまいました・・) つい最近、お隣さんは二年前に息子さんを亡くされていたということを知りました。そしてこの間「諸聖人の日」という特別な日に、お墓参りに一緒に行きました。私は、いつもニコニコしているおじいちゃん&おばあちゃんに、そんなに辛い過去があったなんて知らなかったので、その計り知れない思いに涙が出そうになりました。ですが、私が一緒に行くことにとても喜んでくれたので、少しは良かったかなと思います。実はお隣さんは英語を話されない&私もフィンランド語が分からないので、会話はほとんど成り立たないのですが、言葉はなくても行動で通じる事もあることを実感しました。

2007/12    キャンドルを灯した中での食事
こちらの生活は早くも3ヶ月が経ちましたが、もっと自分から会話をしなくてはならないと感じています。ホストファザーに「あなたは大人しいね。」と言われてしまいました。確かに、いつもホストの会話を聞いているばかりで、自分の事を話していません。このままではいけないと実感しています。 学校での活動は、最近は小学校だけではなく、近くの中学校にも行かせてもらっています。先日、クリスマスの時期に食べる料理を作るということで、調理実習に参加させて頂きました。電気は付けず、キャンドルを灯した中での食事は、暗い冬を過ごすフィンランド人らしいと思いました。私は正直キャンドルが怖いです。「地震が来たらどうしよう・・」と考えてしまいます。フィンランドは地震はないようなので安心ですが、この考えは日本人ならではだと思いました。 来年の授業は、もっと細かい日本の事も教えたいなと思っています。 今年も大変お世話になりました、来年も宜しくお願いします!

2008/01    冗談が言える様になりました
活動報告をする度に、既に一ヶ月経ったのかと実感します。学校活動の方は、12月の後半頃、研修先以外の学校にたくさん行かせて頂きました。一日で3校回った日もありました。3校ともとても小さな学校だったのですが、ひとつの教室が屋根裏部屋のような所で、新鮮でした。2008年に入ってから、授業の方は正直進んでいません。私の研修先は、私が授業内容を提案し、要望があるクラスだけ授業をするという形です。すべては自分次第です。ですが、周りから色々なチャンスを頂いています。例えば今度、パントマイムなどのアクロバットを教えている学校から招待されたり(泊まりこみで)、中学校で日本料理をやりたいと要望があったり。とても嬉しい限りです。そして、フィンランド語は全然上達してませんが、冗談が言える様になりました。ですが、自分でも自覚してますが、ホストから「もっと話さないと」とよく言われます。最近、ホストマザーに対して不満があり、表に出さないように努力してるのですが、出てしまったようなんです。それで少々ギクシャクした雰囲気になってしまいました。私は友達がいない為、休日も家にいますし、空は薄暗いですし、太陽は出ませんし(そういう環境の国だから仕方ないんですが)ストレスが結構溜まっているのかも知れません。そんな時、あるきっかけから「北極圏に気晴らしに旅行でも行って来たら?」とホストが提案して下さいました。学校の事は気にしなくて良いと言って下さったので、クリスマス休暇が明けて一週間程度しか経ってませんが、お言葉に甘えて11日間程行って参ります。そこで頭を冷やし、色々な人と出会い、リフレッシュして帰ってこれたらなと思います。

2008/02   バレンタインデーは、「友達の日」
先月行った、ラップランド旅行はとても楽しいものでした!しかも、オーロラまで観ることが出来ました!!しかもそれは、サウナで体を暖めた後、雪を被りに−28度の外へタオル一枚で出た時の事でした(フィンランド流にやってみました!でも慣れていない私にとっては、毎日やるとかなり堪えましたが・・)

そして、今月はバレンタインだったので、私は800gのチョコを買って生チョコを作り(日本にいたら、絶対にやらない事ですが・・)、研修先の先生方、私が受け持つ授業がない時にいつもヘルプしているプレスクールの子供達、お隣りさんにプレゼントしました。生チョコはとても好評で、レシピが欲しいとまで言って頂けました。(フィンランド人はチョコ好きですが、日本と比べるとチョコ菓子の種類は少ない気がします。なので生チョコを食べたことない方も結構いらっしゃいました。)子供達には最初「変な臭いがする、くさい!!」と言われましたが、食べたら「美味しい〜!!」と言てもらえて、顔中にココアパウダーを付けて満面の笑みを浮かべてました!低学年の子供に「日本ではチョコをあげる」と話したら、男の子2人が顔を見合わせ「いいな〜日本、僕チョコ大好きなんだ〜」とため息交じりに言ったことが非常に可愛らしく、鮮明に覚えています!ちなみにフィンランドでは「友達の日」です。学校では、顔にハートの絵を書き、ハート型の紙を持って教室中を回り、友達にサインをもらいます(ハグもしますが、シャイな子達はやりません)。ヒップホップ系な服装をした高学年の生徒がハートの紙を持って私のところへ来たのは面白かったです!見た目は大人っぽくみえるけど、やっぱり子供なんだなと思いました。そして極めつけは、お菓子を積んだトラックが町中の学校を回り、荷台に乗った人達がお菓子を投げてくれます。とても楽しいイベントでした!来週から私はスキー休暇に入ります。ホストの友人の親戚の方で、以前日本に住んでいた方がいらっしゃるそうで、その方の家に泊りに行ってきます!私の周りの皆さんは本当に良くして下さり、毎日感謝しています。この経験はインターンシップでなくては出来ないものだと思っています。あと半年、きっとあっという間でしょうが、悔いの残らないように毎日を過ごしたいと思います。

2008/03    全校生徒の前で、ピアノ演奏
先週一週間、普段とは別の小学校に行かせて頂きました(ステイ先ではなく、その学校の校長先生のお宅に泊めて頂きました)。その校長先生は、芸術(美術や音楽など)にとても力を入れていらっしゃり、生徒達も芸術的感覚が優れているように感じました。授業内容ですが、日本の歌を教えて欲しいというリクエストがあり、「森のくまさん」を歌いました。フィンランド語は日本語と発音が似ているものが多いので、簡単に歌うことが出来たと思います。生徒達にとても気に入ってもらえて、ある生徒が「この歌のCDが欲しい!」とまで言ってくれました!そしてこの学校は、廊下などにピアノがいくつか置いてあり、生徒が自由に弾くことが出来るようになっています。私が驚いたことは、複数の男の子がよく弾いていたことです。(私の記憶では、私の通っていた学校のピアノは常に鍵がかけられていました。そして、男の子はピアノに興味がないと思っていました。)私は小さい頃ピアノを習っていた経験があるので、放課後弾いていたら、先生に「誰が弾いているのかと思ったら、あなたなのね!」と驚かれ、話が発展し、全校生徒の前で(とは言っても小さな学校ですから大した人数ではありません)1曲演奏することになりました。久しぶり過ぎて結構間違えましたが、思わぬ所で自分の経験を活かすことが出来ました。フィンランドの子供達はシャイな子が多いので、私はいつも、休み時間にはなるべく子供達と一緒に遊ぶようにしています。今回行った学校でも毎時間遊びました。子供のエネルギーはもの凄いです、私も全力で遊びます。この間はスケートリンク上で鬼ごっこをし、こけて青アザが出来ました。痛い・・そして寒い・・。ですが、子供達との距離はすぐに縮まります!ちょうど一年前、自分の誕生日にiipの面接を受けました。その日から私のこの体験は始まっているように思います。父・母・姉、大切な友達、会社を辞める事を許し応援してくれた上司・同僚、そしてホストファミリー、お隣りさん、ホストの友人、学校の先生方、学校の子供達、すべての人に感謝しています。毎日素敵な体験をさせてくれて有難う!!あと半年、全力でやりたいと思います!

2008/04  こけしを銀行の窓に飾ることに
去年のクリスマスに、日本にいる私の家族がホストファミリーへプレゼントを贈りました。その中のひとつに「こけし」があり、それが気に入ってもらえていたのか、最近ホストマザーが受け持っているプレスクールの子供達と作ることになりました。まだ6・7歳の子供達なので、いかに簡単に・でもいかに日本らしさが表現出来るか考えました。学校にあった紙で出来た玉を顔として、トイレットペーパーの芯を胴体として作りました。胴体は無地の折り紙を全体に覆い、細く切った桜柄の折り紙をその上からいくつか巻き付けました。髪の毛を黒く絵の具で塗る為に、事前に塗る部分に印を付けておいたのですが、難しかったようでかなりはみ出てしまいました。ですが、子供達の才能は計り知れません、逆にそれが非常に可愛らしく出来上がりました!私はとても満足でした。ですが、実はこれにはまだ続きがあります・・。ある先生から「町の銀行の窓に飾らせてもらおう」との提案が出て、銀行に許可を頂き、実際に飾ることになりました!その為に私は、折り紙で桜の花をたくさん作りましたが、提案して下さった先生がなんと、紙で富士山を作り、更にはシルクの布を何色か用意して下さり、一層華やかになるように飾りつけまで考えて下さいました。早速放課後、銀行に行き飾りつけをしていると、前を通る人達が足を止めて見て下さっていました。ひとりのご老人が「まぁ綺麗ね!」と声をかけて下さいました。「これは日本の人形で、○○小学校の子供達が作ったんです!!」と必死に答えました。これをきっかけに、小学生だけではなく、町の人達にも少しでも日本の文化を伝える事が出来れば良いなと思っています。ひとつ心苦しい事は、飾らせて頂いた銀行の、向かいにある別の銀行に、私は口座を持っているという事です・・。少々銀行に行きづらいような・・・(笑)まさか、こんなに素晴らしい体験が出来るとは口座開設した当初は思いもしませんでしたから!!