カルチャーインターン、お互いに学んだ犬、スカウトとの出会い

大石恵理子さん
アメリカ
動物が大好きな大石さんを迎えてくれたのは、ミシガン州Flintのドッグ・トレーナー、ロニーさん。彼女のトレーニング方法は、エサやオモチャを使ったり、正しいことしたときに必ずホメるという「犬が自分で考えるように」しむけるのが特徴だ。「力によって従わせる訓練はもう時代遅れなんだそうです。子犬の方がのみこみは早いけど、どんな老犬でもトレーニングは可能だってロニーは言います」ロニーさんの家は広い庭、屋内トレーニング用の大きなバーン(納屋)に犬5匹。そしてそこに1匹、大石さんの訓練用にスカウトという名のボーダー・コリーが加わった。スカウトは人間に理解されず、何人もの飼い主にたらいまわしにされてきた犬。「初めはうなったり、呼んでも全然応えようとしなかった。でもボーダー・コリーは本来賢い犬。私も初めてだったし、スカウトがいたから、トレーニングの方法をひと通り学ぶことができたんです」スカウトはやがて競技会でいくつも賞をとれる犬になり、今では大石さんの大切な友だちになった。ここでの犬の訓練は飼い主が一緒、が基本。週1回2時間×7週間。これで大抵の犬はステイ(待て)ダウン(伏せ)カム(来い)などの基本の指示を理解できるようになる。しかも全部で75ドル。日本の一回約5千円と比べるとなんとも安い。夏にはロニーさんが主催する2週間のドッグ・キャンプが2回あり、全米から100人もの飼い主と犬が、競技会用の訓練やおぼれた人を助ける訓練などに参加。大石さんもアシスタントとして活躍し、夜は参加者に折り紙を教える機会もあった。また、大石さんにとって興味深かったのがアメリカでの介護犬の存在。ロニーさんは養護学校や老人ホームで活躍するセラピードッグや人間を介助する犬も訓練しているのだ。「飼い主が発作を起こしたときに知らせたり、中には発作を予知する犬もいるから驚きです。日本では社会の理解も遅れていて、盲導犬ですらまだボランティア感覚。トレーナーも少ないし資金も足りない」ドッグ・トレーナーになれたらいつかそんなことも・・・・・・。夢の実現にはもう少し時間がかかりそうだ。