カルチャーインターン、コーヒーの有機栽培を学ぶ

小林靜子さん
アメリカ
私は、約3ヶ月間、ハワイ島にあるコーヒー農園でコーヒー豆の栽培体験をしてきました。「ハワイ」と聞くと、常夏の楽園というイメージがあり、私もそんな期待を胸に抱いてハワイ島に降り立ちました。しかし、4WDの車でしかいけないでこぼこの山道を走り、たどり着いた場所は電気もなく(ソーラーパワーの自家発電がかろうじてあるくらい)、生活用水は雨水をタンクに貯めて使う、そんなところでした。最初はなんてたいへんなところに来てしまったのだろうと、つくづく自分の向こう見ずな性格を悔やみましたが、「住めば都」とはよく言ったもので、次第に電気のない生活にも慣れ、ランプの淡い明かりを楽しめるようになりました。なぜ、私がインターンシップのカルチャープログラムに参加しようと思ったのかというと、英語を話す生活がしてみたいと思ったのと日本では体験できないことをやってみたいと思ったからです。もともとコーヒーには興味があり、産地や豆の種類などを本で読んだりしていたので、インターンシッププログラムで世界のいろいろな場所で自分の取り組みたいことに挑戦できることを知り、それならコナ・コーヒーの産地であるハワイ島でコーヒー栽培の勉強をしてみようと応募しました。私が滞在していたのは、アメリカ本土から移り住んだ夫婦が経営している農園です。有機栽培のコーヒーを作りたいということで、農薬や害虫駆除剤は一切使わず、ひとつひとつの作業をすべて手作業でこなしているところでした。農作業は力仕事が多いので、つらいことも多かったのですが、澄んだ青空の下ですがすがしい汗を流しながら働くということは日本では経験したことがなかったので、逆に楽しく思えました。生活面で苦戦したのはやはり英語です。「ハワイ」で日本語が通じるのはオアフ島の限られた地域だけで、ハワイ島はほとんど日本語が通じません。またアメリカ人と一緒に生活していたので、日々の生活はもちろん英語だし付き合う人々もアメリカ人ばかりで、最初は一体何を話しているのか聞き取るだけでもたいへんでしたし、話の内容を間違って理解して後から謝ることもけっこうありました。でも、言葉の壁はいつかぶつかるだろうと思っていたし、無理にその壁を乗り越えようとせず、気楽に構えていたので気持ちが落ち込むようなことはありませんでした。もともと楽天的な性格なのが幸いしたようです。わずか3ヶ月という短い滞在でしたが、滞在中に体験したことは何ものにも代えがたい私の貴重な財産となりました。農園の中には「Shizuko's Orchard」と名前のついた場所があります。滞在中に私が古い木を切り倒し雑草を刈って、新しいコーヒー畑として整地した場所です。1回の滞在で終わることなく、これから赤い実がなりその場所からコーヒー豆ができあがるまで見守っていきたいと思っています。