米国のホテルは、優雅な中にも、フレンドリーな感覚が満ちています

奥宮啓子さん
アメリカ
サンフランシスコ国際空港から車で45分のところにサンノゼはあります。ここはいわゆるシリコンバレーに位置し、ハイテク企業が目白押し。この新しきゴールドラッシュ・タウンには世界中のビジネスマンが集まり、そんな戦士たちにひと時の安らぎを提供するのが、私の研修するザ・ベバリー・ヘリテッジホテル(以下BH)です。とても家庭的なホテルです。決してゴージャスではないけれど、すみずみまで気配りが行き届いていて、大ホテルではこういう落ち着きは感じられないのではないかと思います。そんな静かな空間の裏で、私のホテルウーマンとしての1日は忙しく始まります。朝4時30分に起床すると、上司で私の良き師匠(笑)でもあるマリアが車で迎えに来てくれます。6時から仕事を始め、今日のレポート作成、お得意様であるアラスカ・エアライン搭乗員用のカギの手配・・・。そして、チェック・アウトラッシュが始まります。次々にチェックアウトの列が出来る中、ひっきりなしにかかってくる電話にも、私は1つ1つ丁寧に対応していかなければなりません。研修を始めたばかりのときは、早口の英語がまるで聞き取れなくて、私の研修担当のマリアに迷惑をかけっぱなしでした。言葉の壁を感じました。そんな時、温かいなぐさめの言葉をかけてくれる友達もまだ私にはいませんでした。もう心がブルーで寒くて日本にいる友人にたくさん手紙を書きました。でも電話はしなかったんです。いや出来なかった。だって、電話をすると絶対泣いちゃうと思ったんです。でも、そんな状態が続く中、やはり手をさしのべてくれる人はいるんですね。レストランで働く、メキシコやチャイニーズ系の人がなぐさめてくれるようになったんです。『オレ達も始めはそうだった』って。もう、うれしくて、うれしくて。休みの日もモントレーやカーメルといった街に連れて行ってくれたり、ピクニックに誘ってくれたりと私を支えてくれました。もちろんマリアさんにも凄く助けられています。マリアさんの娘さんも一緒に、発音のレッスンをしてくれて、耳が慣れてきたな、と思ったらその先は早かったです。相手の言っている事はだいたい理解できるようになりました。でも、喋るのはまだまだ(笑)です。夢はコンシェルジュ。それも日本に来た外国人と対等に話しのできる人になりたい思っています。