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○ LD生徒の追体験
今回の旅の一番の成果はLD生徒の気持ちを少し体験できたことかもしれない。18日間英語でコミュニケーションしなければならなかった。英語力のない私にとっては、これはよくわからないことの連続であった。英語のシャワーの中で、分からないという事がこんなにもストレスを与えることになるのか、よく分からないのに「ヤップ(NZ のイエス)」ととりあえず相槌を打つ事の情けなさ、考えていることや言いたいことはたくさんあるのに、それを表現できないもどかしさ等々、これは実に辛い。LD生徒が教室で感じている辛さはこんなものじゃないかも知れないと想像すると、今までの自分の彼らに対する教育の至らなさが痛感させられた。

○ 学校完結型と社会資本依存型
日常の職場実習を近隣の教会や商店、集会場、幼児の遊び場、YMCA、図書館、ホテル、個人宅(芝刈り)などで行っていた。地域の方々の受け止めも大変よく、インクルージョンが進んでいるお国柄を実感した。特別支援教育の生徒がどんどん地域に出ていくことによって障害者理解も進むという相乗効果も期待できる。それに比べると我が国の特別支援学校は学校内完結型が多い。勤務校は地域に出て行く学校ではあるが、もっともっと日常的に地域に出て地域の社会資本を活用していく視点を大切にしたい。

○ 特別支援教育は20歳まで
我が国では学校教育は18歳で全員一律に終了となる。一方で特別支援教育のニーズのある生徒は個人差が大きく、本校にも18歳で社会に出るにはあまりに幼い生徒がいる。こういう生徒の場合、せっかく就職できても長続きできないケースが見られる。NZのように21歳までとは言わないが、せめて20歳の成人までTransition のようなクラスでキャリア教育を受けられると、もう少し大人になってから社会に出られる。その分、自立した生活を送れる可能性が高まる。コストはかかるが、卒業後の人生で何十年も働いて納税者として生きるか、それとも働けず福祉の世話になるかを考えれば、20歳までの投資は結果的にはそのコストを上回る効果を発揮してくれると考える。

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