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9か月のプログラムのうち3分の2が終わり、私の滞在も残り3ヶ月となりました。最近は少しずつフィンランド語ができるようになり、簡単な会話を先生方としたり、フィンランド人の友達としたりしています。もっと早くから、フィンランド語を使っていけばよかったと少し残念な気もしますが、フィンランド語の勉強がしたくて、滞在期間がもっと長くなれば、と思っています。

9月の下旬から高校生はテスト期間が始まり、授業のない私は滞在している街にある中学校や小学校を訪問しました。 行く先々の学校で、フィンランドにはいつ来たの?いつまでいるの?そして既にフィンランドに長い間いることを踏まえて、この街のどこが好き?離れるときなにが恋しくなると思う?フィンランドの食べ物で何が好き?などフィンランドに関する質もをされ答えを考える度に、フィンランドに半年も滞在していたことを実感しました。

特に"義務教育"に興味のあった私にとって小学校や中学校の授業に参加できたことは、それが1週間という短期間だったにも関わらず、幾つもの発見ができ大きな経験となりました。例えば、フィンランドで使われている教科書は絵がたくさん使用されている点や、その授業が行われる教室には、パソコンとネット環境、プロジェクターがある程で作られている点など、私が小中学生の頃に使っていたものとは全く違うものでした。2つ目の点に関しては、先生が授業中に出版社のサイトにアクセスして、該当する教科書のページを開き、英語の発音を生徒に聞かせることや、絵では説明しきれない点をアニメーションで説明してくれます。私が参加した小学校のクラスでは、殆どのクラスで黒板が使われていませんでした。

先生方とお話した際、日本に帰ってからフィンランドで学んだことを日本で活かせると思うか(教育現場で)と尋ねられました。私は、その時"できない"としか答えることができませんでした。それは、フィンランドと日本の教室の環境があまりにも違うからです。日本の出版社がフィンランドと同じような教科書を作っても、日本の学校にはプロジェクターもパソコンもネットも常備されているわけではありません。
そのことを先生方に伝えると、"なんで!あれらの機械を作ってるのは日本でしょ!"と、とても驚かれました。そうなんです、プロジェクターもエプソンや、NECなど日本製のものばかり。パソコンも、富士通のもをよく目にします。私も驚きです。

算数や、英語など理解が難しい授業はクラスを二つにわけるという発想は、日本にもあるとは思いますが、フィンランドでの方法はちょっと違います。その少人数授業を朝の2時間で行い、たとえば。Aクラスのはいつも通り8時に登校して、残りのBの子たちは10時ごろに登校してきます。もちろん、Bのクラスの子が8時に登校し、Aの子たちが10時に後で登校してくる日もあります。元々クラスには25人程しかいないのに、少人数授業だと10数人になります。生徒一人ひとりを見るのはずっと容易になりますし、生徒たちは授業に積極的に参加せざるをえません。

またこの訪問の最中に日本の学校の良さにも気づきました。日本の学校はただ"学問を勉強する場"でないことを感じました。例えば、掃除。フィンランドでは生徒が掃除をする時間はありません。掃除の時間を通して、決して掃除の仕方を学べるわけではありませんが、私は小中学校の9年間で、物や場所を大事にすることなど、"掃除"という行為以上に大事な物を学んだと思います。また、日本の中ではそれが当たり前すぎて感じたことはなかったのですが、日本人は礼儀正しいといわれる所以を実感しました。

滞在期間が残り3ヶ月となり、帰国の文字が頭をよぎり始め焦りを覚えますが、残された日々を大切にすごそうと思っています。今年はオーロラの当たり年なようで、頻繁にオーロラが出てる!と情報をもらいます。そういった、フィンランドならではのことも、最後まで満喫しようと思います。

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