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  4ヶ月間の小学校での研修が終了しました。研修を始める前は「孤独を感じるかも」「1日が長く感じるかも」と心配もしましたが、杞憂に終わりました。子どもたち、スタッフ、保護者の方にも恵まれて、涙涙でのお別れでした。自分なりに振り返ってみます。

<職場での関係で良かったこと>
1.やりたいことを明確にし、計画を立て、言葉できちんと伝える。
 「全校集会を○回持ちたい」「固定の時間割がほしい」「~をしたいから、子どもを○人貸してほしい」「あなたに~をお願いしたい」など、自分の要求を表明しました。教頭先生から「この国では、自分のしたいことをちゃんと言わなきゃだめよ」と初めに言われたのが良かったです。

2.わからないことはとにかく聞く。
 これは何、なぜ、あの人は誰、物のありか、使い方など、とにかくわからないこと、日本と違うことが多いです。タイミングは大切ですが、誰でもいいから近くにいる人に聞きました。初めは冷たい印象だった人が、実はとても親切で、それ以来その人から話しかけてくれるようになりました。また、やる気があると受け取られたようです。新しい情報も知らせてくれました。コミュニケーションのきっかけにもなります。

3.自分から申し出る。
「何かできることはありますか?」「~しましょうか?」「手伝わせてください」など、仕事を申し出ました。学校は誰もが忙しいです。日本もイギリスも同じです。雑用から、算数や英語の小グループの指導まで、いろいろな仕事を経験させてもらいました。「手伝って!」「この子たちをお願い」など逆に頼りにされて、スタッフの一員として役に立てている喜びも感じました。自分にできることは何でもする!

4.英語はできるに越したことはない。
 仲良くなればなるほど、もっと話したい、分かりたい、伝えたいという気持ちが強まります。コミュニケーションはジェスチャーや表情も大切な要素ですが、言葉で自分を表現できないとフラストレーションを覚えます。研修を始める前にできる限り表現力を高めるといいと思います。また、英語を上達させたいという姿勢でいると、スラングや口語表現をたくさん教えてもらえました。

<授業で心がけたこと>
1.授業内容や地域、子どもの関心のあることとつなげる。
 子どももスタッフも日本についてほとんど知りません。特に強い関心もありません。
 5年生。ヨーロッパの国々について学んでいました。「日本の国技『相撲』を知り、紙相撲をする」という授業の導入に、スポーツの発祥国クイズでヨーロッパの国をいくつか扱いました。マラソンはギリシャ、ラグビーはイギリス発祥ということを知らない先生もいて、私はそれに驚きました(ちなみにラグビーは隣町)。また、外国人力士も紹介しました。
 4年生。「伝統衣装『着物』を着る場面を知り、浴衣を着る」という授業をしました。副担任の先生がスコットランド出身だったので、伝統衣装『キルト』を着る場面を紹介してもらいました。結婚式・儀式、お祝い(お正月、成人式、七五三)、伝統楽器(琴・バグパイプ)の演奏や伝統舞踊(日本舞踊・ハイランドダンス)で着るという共通点があり、子どもたち、先生方、私にとっても驚きでした。最後は、私が子ども、先生に浴衣を着せ、副担任の先生がご自分のお子さんのキルトを子どもたちに触らせました。
 6年生。この街は、第2次世界大戦中ドイツ軍に爆破され廃墟となった教会が保存されています。そこに「和解の像」という彫像があり、同じ彫像が広島に贈られました。ほとんどの子どもが知りませんでした。知らない先生もいました。広島・長崎の話をし、平和への祈りを込めて最後にみんなで折鶴を折りました。

2.体験させる。
 子どもは話を聞くだけでは退屈します。上記のように「紙相撲をする」「着る」「折り紙」や、「巻き寿司作り」「伝承おもちゃで遊ぶ」など体験が好きです。また、クイズも好きです。

3.メッセージを込める。
 「食べ物を大切にしてほしい」という思いを込めて「学校給食と『頂きます』『ご馳走さま』の意味」を、「writingがんばろう」という思いを込めて「日本語の表記文字」について全校集会でプレゼンテーションしました。子どもの様子を見ていて私の中で思うところがあったからです。他にも「文化の相違点ではなく類似点に目を向けてほしい」「自分の国や地域も知ってほしい」「平和への祈り」などそれぞれの授業にメッセージを入れました。

 自分に何ができるか、目の前の子どもたちに何をしてやれるか、私だからできることは何か。目の前の子どもたちと向かい合いながら、自分自身とも向かい合った4ヶ月でした。

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