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2012年02月14日・Kazuaki Yazawa・ 20代 , フィンランド , 海外教育交換プログラム
2月に入りロシアから寒波が流れ込むようになり、バルト海に面したTurkuでも気温が-25℃近くまで下がる日が5日間ほど続いた。前日に卒業試験の軽食として配られた余りのバナナを屋外に放置してみたところ、翌朝にはカチカチに凍っていた。バナナで釘打ちができるのかと思い試してみたが、細い釘の頭に圧力が集中しバナナに穴が開くだけであった。また、濡らして絞ったタオルを空中で振り回すと、30秒ほどで持ち手の部分が固まってきて、1分もすると広がったままの形で凍りついてしまった。いずれも酷寒の地ならではの現象なので、帰国後の教材として映像に収めた。
研修校の冬の行事として、中学校ではウィンタースポーツを楽しむ一日があった。スキー、スケート、アイスホッケー、ダンスなど12種類のアクティビティから1つを選んで参加する。私はTurkuからバスで3時間ほどのところにあるHimosというスキー場まで出かける日帰り旅行に参加させてもらった。3台の貸切バスに150人ほどの生徒が乗り、私を含めて5人の教員が引率した。ほとんどの生徒が自分のスキー道具を持参し、11:00から16:00まで滑り放題だった。日ごろからスキーによく出かけている生徒が集まっていたとは言え、斜度35度はある最上級コースを何のためらいもなく滑っていく生徒が多く、スキーのうまさに驚嘆した。日本の勤務校では冬休みに4泊5日でスキー学校を実施しているが、その最上級かそれ以上のレベルの生徒ばかりだった。
気になったのは、引率教員の少なさである。150人の生徒に対して5人では、広いゲレンデに散った生徒の様子に目を配るのは到底無理である。そのあたりの事情を探ってみると、朝7時に出発して夜8時に帰着する長時間の旅行の引率を希望する先生が少ないかららしい。学校や市内の運動施設に行き昼過ぎまでには解放されるコースの方が楽というわけだ。スキーを引率している先生はもともとそれが大好きで、引率のついでにスキーが楽しめるならいいと思って来ているらしい。スキー好きの生徒なら、放っておいても勝手に滑っているから、自分は自分で楽しめるとまで言われた。生徒の安全を第一に考えて、事故のないように手を尽くしたシステムで運営している勤務校のスキー学校と比較すると、大ざっぱで緊張感に欠けると感じてしまった。合宿形式の旅行という発想があまりないフィンランドならではということか。

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