柔道初段の特技を生かしてフィンランドで奮闘中
柴山里加さん
フィンランド
夏の白夜、冬のオーロラが幻想的なフィンランドのラップランドにあるペッロという街にスクールインターンとして派遣された私。派遣先はペッロの中学校とホストファミリーが経営する柔道クラブ。柔道初段という特技を生かせることが何よりうれしかったという。ペッロの中学校では日本語を教えたり、折り紙、歌、習字、生け花、浮世絵など、日本の文化を紹介している。「授業はとても楽しい。子供たちのいきいきとした反応が、次の授業へのいいステップになります。退屈させない授業、生徒参加型の授業を心がけています」だが、私の活動は決して順風満帆だったわけではない。「言葉の問題もあったと思いますが、先生たちがなかなかうちとけてくれなかったんです。フィンランド語は、派遣前に3ヶ月ほど日本で勉強はしたんですが。半年ほどして学校側が主催した“ジャパニーズ・デイ”の準備のときも、なんの質問も手伝いの要請もありませんでした」でも、いざ当日を迎えると、先生も生徒たちも、驚くほどのがんばりを見せてイベントは大成功。いくつかのグループに分かれて日本に関するものを作成、披露するのだが、生け花や浮世絵はもちろん、巻き寿司、味噌汁まで、どれも見事なできばえだったとか。私は不安が大きかったぶん、言葉に表せないほどの感動を覚えた。「フィンランド人は親しくなるまでに時間がかかります。でも、一度気心が知れると親切すぎるくらい親切で、裏切ることなんてできない人たちなんです」先生たちとはその後よい関係を作ることができたという。フィンランド語も夏休みにヘルシンキ大学の語学コースに3週間通ってだいぶ上達した。もうひとつの派遣先であるペッロ柔道クラブでは、日本人が教えに来ているということで、話題になった。「もちろんみんな真剣ですが、張りつめた雰囲気というよりは、和気あいあいといったムードで練習をしています」私の意気込みが買われ、また評判も呼んで、今では近隣の学校からも依頼があり、毎日のように違う学校を訪問する忙しい生活を送っている。週1回は、スウェーデンの学校にも教えに行くそうだ。「ホストファミリーとの関係も良好で、今は充実した毎日を過ごしています」