人生転換ドイツホームステイ
安岡 悦子さん
ドイツ
専心していた主婦業を今後の人生の為に更に新鮮にしたいと考えていた。細々努力し続けたドイツ語でドイツをもう少し深く認識したく、思考の末勇気を持ってこのプログラムに参加したのは1989年10月60才の時であった。
紹介していただいた Westfahren州Duerenの村にある夫婦と3人の男の子、17才と12才の双子のいる暖かい家庭バーズン家に3ヶ月滞在した。あてがわれた私の部屋には庭の草花が見事に活けられ、机の上には筆記用具等整えられ、その細かい心遣いに感動し学ぶ事も多かった。それに応え私も色々気遣いながら快適なステイができた。当時は東西ドイツ統一以前で一般的に、日本と比べると非常に慎ましい生活ぶりであり深く考えさせられた。
ドイツは昼食がメインで家族が揃うので私達主婦二人は交替で、自家菜園からの新鮮な野菜など使ったりして料理にそれぞれ腕をふるったので、家族や時にはお招きしたご近所の方達にも喜ばれた。
日本を紹介する為の村にある市立実技学校は、法律で午後の2時には全校生徒が帰宅する。充実された授業には余裕が少ないのだろうか折り紙を希望するクラスも少なかったが、音楽専科のクラスに日本の童謡や日本人作曲の歌曲等の授業をしたのが好評でありその中、音楽受け持ちの先生の作曲されたミュージカルが学校で公開演奏される事になり、そのお手伝いで出演生徒と練習に充実した時間を過ごした。地域の民族の異なる生徒の問題がテーマのミュージカルで発声も表現もアンサンブルも非常に良く、いい演奏会になった。
帰校後の生徒達の為にかなり充実した青少年クラブが地域にあり、そこで折り紙を教え又私はクリスマスデコ−レーションをならった。教会の婦人クラブでは折り紙は勿論、活け花の希望者が多くて皆で街で水盤やしずみを買い求め又花屋にはモぼく(木)モが売っていないので車で丘の川辺へでかけ枝ぶりを鑑賞しながら材料選びをした。ステイしていた家族の双子達のクラリネットの腕前は相当なもので、クリスマス音楽を適当に編曲して私のピアノとアンサンブルでクリスマス音楽会を教会や病院で演奏した喜びは忘れがたい。
帰国後暫くは家族の世話や雑事に追われモ体験モを活用する事はできなかったが、ここ十年余り主人の協力もあり日独協会を通じて夏休みにドイツの学生さん達のホームステイを引き受けたり又知人に頼まれ学会で日本を訪れた外国の先生方を我が家へ招き、負担にならないように会話や音楽を楽しみながら有意義な時を過ごしたりしている。
私がステイしたバーズン家の奥さんも一ヶ月私宅に逗留し、主人の車の運転で息子達の会社の保養所などを利用しながらモ赤富士モも拝む事ができた。彼女はその旅行記を写真と共に見事な一冊に纏めている。私達夫婦も一昨年次男ミヒャエルの結婚式に招かれバーズン家に宿泊し素敵な経験をした。そして家族達とは未だにEメールの交換をしている。