ベトナムでの毎日は、心洗われる出来事の連続
ジョウジョウ・アキさん
ベトナム
派遣先は、ベトナム・ホーチミン市の公立青年団日本語学校。国の青少年機関の付属の学校で、生徒数約2000人、教員40人の市内でも指折りの本格的な日本語学校だ。ここ数年、海外からベトナムへの投資があいつぎ、同時に外資系合併企業が爆発的に増えている。そして、これらの企業は、ベトナム国営企業に比べて給料がかなり高いため。就職希望者が多いのだ。特に、日本企業に就職を希望する学生が多いため、日本語を勉強する学生は真剣そのものだ。しかもベトナムの学生は、自分で納得したことでないと、教師の指示には素直に従わない。とことん、つっこんだ質問を浴びせてくる。「先生、『申し訳ありませんが』と『恐れ入りますが』の違いを、説明して下さい。」学生が、真剣なのでこちらもうっかり気を抜けない。その分、学生たちの上達も早く、初級のクラスにも、日本語で冗談を言って笑わせる学生が多い。また、授業を受け持っていないクラスの学生達も、少しでも日本人の私と話がしたいため、私の授業が終わるのを教室の外でずっと待っている。ベトナムに来て3ヶ月、そういった彼らの話を聞き、質問に答え、時には同世代の彼らと遊びに行き、日に日にお互いの信頼が深まっているのを肌で感じている今日この頃だ。私事だが、先日の誕生日は、そんな学生達に盛大に祝ってもらった。ベトナムで車を持っている人は少ないため、皆バイクを運転しているのだが、私も学生のバイクの後ろに乗せてもらい、皆で暑いホーチミン市を抜け出し、サイゴン川のほとりの涼しい風が吹くレストランでパーティを開いてもらった。その時の盛り上がりもさることながら、学生の言葉が何よりうれしかった。「先生は、今外国にいますから、家族や友達と誕生日のお祝いができません。ですから、私達がお祝いをします。寂しくないですよ!」常に、私が日本語を教える以上に、学生達から教えられ、助けられている事の方が多いと感じている。日本のように一見、物や情報に囲まれた便利な生活、おしゃれでスマートな生活はできない。でも、不思議と私の心は、いつも満たされている。それは。皆、心で接してくれるからだ。感情を持った人間同志の、「人らしい」つきあいを通じて、毎日が心洗われるよう出来事の連続なのだ。そして、どんな全ての人をも包み込む、広さと深さが、このアジアの大地と、ここに住むひとに存在しているからだろう。今私は、ベトナムで会った全てのすばらしい人たちに囲まれて、かけがえのない時間を過ごしている。